ネッカー川の上流にあるシュツットガルトStuttgartに初めて行く機会があった。訪問した日は、自動車修理工場を取材するアポが午後2時からだったので、午前中が空いていた。シュツットガルトという街の産業で最も知られているのは自動車メーカーがあること。その代表であるメルセデス・ベンツが運営している自動車博物館に行くことにした。
メルセデスベンツは1866年にカール・ベンツにより創業した世界最古の自動車メーカーの一つ。
シュツットガルト中央駅近くのホテルからタクシーで20分ほど。その館内をピックアップした写真で紹介しよう。
- 左は博物館のエントランス。入場料は12ユーロ。日本語や英語のガイドを無料で借りることができる。
- 右は1885年、ゴットリープ・ダイムラーとヴィルヘルム・マイバッハが開発した世界最初のガソリンエンジンによる自動二輪車。時速12km。
館内(その1)
- 上左中はエントランス風景2点。上右は入口のアプローチに数多くの乗用車が展示されている。この奥にサッカーチームのクラブハウスや練習場がある。
- このエリアにメルセデスベンツ関連施設が多いのは所有地だからだろう。館内から窓越しに、隣接しているメルセデスベンツアレーナが見えた。ここはブンテスリーガのVfBシュツットガルトのホームスタジアム。伊藤洋輝、原口元気選手のほか、2023年春までは遠藤航選手も在籍していた。クラブハウスと練習場もすぐ近くにある。
館内(その2)
- 上段:左からダイムラー・ベンツ兄弟の歴史。中央の左側は、世界で最初に特許を取得した自動車「ベンツ・パテント・モトール・ヴァーゲン」とエンジンシリンダー。右:自動車の歴史がわかる展示車両。
- 中段:乗用車の歴史(左)、最初の近代的な自動車のモデル(中央)、スポーツカー
- 下段:モータースポーツの歩みの展示
館内(その3)
- 上段:左と中央は、1957年メルセデス・ベンツ300SLロードスターのスペースフレームとそのデザインを紹介。右はウニモグ。実用車の一角にあった雪上作業車。
- 下段:左と中央は、1930年から38年にかけて製造されていたメルセデスベンツ770。日本の昭和天皇が愛用していたプルマン・リムジンモデルと展示パネル。同型モデルにはアドルフ・ヒトラーも乗っていた。右はかつてローマ法王ヨハネパウロⅡ世が利用していた防弾ガラスの車両
館内(その4)
- 回廊のパネル展示。車両展示だけでなく、自動車の開発に関するさまざまな資料やパネルが展示されている。中央の写真のパネルは、小型のベンツ190の安全のため搭乗者を守るためのイメージデザインや技術を紹介している
- 未来の自動車がこうなるだろうという開発の予想図をパネルで展示している。
メルセデスベンツ博物館を見学するには最低でも2時間程度は必要だろう。時代の変遷や車両のタイプによって各フロアが構成されている。興味のある車両展示をつぶさに見ればさらに時間がかかるかもしれない。もちろんミュージアムショップもある。グッズや図録などもたくさんあり購入可能だ。
以前、イタリア・モデナのフェラーリ博物館にも行ったことがあるが、スポーツカー中心の展示とは違って自動車が開発されてきた歴史やその拡がりは、さすが世界的なメーカーとなっているメルセデスベンツだと感じる。
自動車修理工場を訪問
この日の午後、アウトドクトル・アイゼマン Der Auto Doktor Eisemannという(写真左下)自動車修理工場を業界誌の取材で訪問する機会があった。2017年に現在地に新築移転した赤を基調にした外観を持つかなり立派な工場だ。ここは、日常的に発生するメンテナンス、事故車修理の鈑金塗装はもとより、旧車をレストアするために、”オールドタイマーボックス”という作業スペースを確保している(同下上)。そして、フランク・アイゼマン社長によれば、「メルセデスベンツ博物館に展示されている商用車の一部は、当社が協力している」と話していた。
同社の工場内部に入っていくと、右下の写真のように日本でも人気のあるVWビートルが入庫していた。そのナンバープレートに注目していただきたい。数字の最後に”H”という文字が入っている。この”H”は”Historische”の頭文字だ。つまり「歴史的な」価値を持つクラシックカーであることを意味している。滞在中に視察した2つの展示会でも、オールドタイマーの展示車両をアピールするコーナーでは補修塗装の技術を紹介していた。ドイツではこのような年式の旧い自動車を保護しようとしていることを付記しておきたい。
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