この名を聞いて懐かしいと思う人は、鉄道ファンでかつ50歳半ばより上の世代だろうか。
北海道帯広から広尾まで国鉄広尾線が走っていた時代、1970年代の半ばに”Discover Japan”という観光キャンペーンが繰り広げられていた。広尾線もまた、多くの赤字路線の一つとして疎まれていたが、一枚の「硬券」が一大ブームとなった。「愛国」から「幸福」という、なんとも美しい響きを持つ二つの駅名の縁起にあやかっていた。当時小学生だった私も、静岡の片田舎でその切符をコレクションしていた。徳島本線の「学」駅も持っていた。
ここ数年は、十勝方面に出張する機会があった。とかち帯広空港を利用することが何度かあった。レンタカーで帯広市内から空港まで走る途中、廃線となった広尾線愛国駅の近くを通る。気になっていたので、ちょっと立ち寄ってみた。駅舎もホームも残されていた。





そして、2駅先の幸福駅にも気になり、時間を見つけて足を伸ばしてみた。こちらも公園として残され、売店では今も切符が売られていた。「幸福」という名のとおり、ここで結婚式が行われるようである。夏、冬、それぞれ駅の風景を少しばかり季節の移り変わりを撮ってみた。







「酪農王国」と呼ばれる十勝。乳製品、豚肉や牛肉の生産は有名である。牧場をはじめ広大な農地が醸し出す景色もまた美しい。夏になると麦が金色になる。緑色のビートも多い。ビートというのは「甜菜」。「甘」という文字を含む名のとおり、砂糖になる。小中学生のころの社会科の教科書や地図帳で、北海道の主要産品のなかに「てんさい」が挙げられていたが、見たことはなくまったく理解できなかった(写真がないのが残念だ!)。とうもろこし、大豆、小豆、ジャガイモなど、さまざまな農作物の大地には、開拓者たちの歴史が刻まれている。







帯広に行って、数年前に知った「インデアンカレー」。帯広のソウルフードと言われる。もともとは、駅前にある洋食店のふじもりがメニューとして作ったもの。それがカレーだけ独立して「インデアンカレー」になったそうである。市内に数カ所あるが、昼になると行列ができて混雑する。大鍋からルーを盛るのではなく、一杯いっぱい、一つひとつ鍋で味をコントロールして出てくる。見ているだけでも垂涎だ。
もうひとつ豚丼というよく知られた丼がある。市内にはたくさん店がある。以前、地元の方に紹介してもらって行った「とん田」は、数年前十勝川沿いに移転していた。何度かいくうちに、豚肉はバラ肉のほうが私好みであることがわかった。脂身があったほうが、旨味がからだ。
出張する期間、2019年4月から9月までNHKの朝の連続ドラマ「なつぞら」が放映されていた。十勝が舞台になっていたのでたくさん宣伝していたし、市内にはスピッツが歌うテーマ曲「優しいあの子」が繰り返し流れていた。帯広駅には主役の広瀬すずさんがたくさんいた(笑)。なつぞらの紙コップまであった。
ドラマではお菓子屋さんの名前は「雪月」。柳月の「三方六」、六角形の雪の結晶を意味する六花亭から掛け合わせたネーミングだったようだ。六花亭の「マルセーバターサンド」がおいしい。それは、もともと長野県から十勝に入植した依田さんが牧場で育てたミルクをバターに加工し、2枚のクッキーで挟んだお菓子。帯広市内には「依田」という町名が残っている。私の知る依田さんは長野県佐久の出身が数人いる。
十勝のお土産は選ぶのが難しい。チョコレートもおいしい。三方六も。マドレーヌも。市内の焼肉屋も、肉が新鮮で美味しかった。厳冬期は路面がつるっつるになるので恐怖感もあるが、また行きたい場所である。
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