


2011年3月11日に発生した東日本大震災。その日、自宅に帰る手段がなく、帰宅困難者になった。その直後から、私の勤務していた会社では、イタリア人のボスが中心になって、いち早くお客様の支援をはじめ、東北に足を運んで支援活動を始めた。東北復興のためのイタリア人会(通称:イタリアンズ・フォー・東北 “Italians for Tohoku”)というグループを立ち上げた。東京在住のイタリア人たちが中心になり、沿岸にある津波被害の大きかった陸前高田市を中心に活動した。私の知り合いも津波で亡くなったから、なんとか協力したいと思った。必要と思われる買い物をしたり集めたりしてバンに載せて運んだ。ラ・ジョコンダをはじめ、イタリア料理シェフたちも出かけて、「イタリアの日曜日 “Domenica Italiana”」という催しの炊き出しも、直後は毎月、数年の間に12回ほど行った。
イタリア人たちの篤い思いが陸前高田市との縁を深めた。イタリア人たちは、パスタやソース、お菓子などの食材を日本に送ってきた、高級ブランドのエトロは4000着の男性用シャツを送ってくれた。我がグループは機会あるごとに現地に運んだ。私はその事務方として、ボランティア活動を行う場所や時間の確定などの連絡、宿の手配などの責任を負うことになった。


活動の象徴的な証しが、2012年7月に陸前高田市立図書館に寄贈した移動図書館車「はまゆり号」だろう。イタリアの船舶会社ダミーコ社が、日本との関係が長年に及んで深いという縁から多大な献金をイタリア大使館に申し出た。当初、スポンサー側はスクールバスの寄贈を希望していたが、同市との協議を進める中で、既存の移動図書館車が津波で壊滅し、いち早く図書館の環境を改善できればと市が希望し、移動図書館車をプレゼントすることで合意した。イタリア人がデザインする中に、地元の小学生や60歳以上の方から募集した絵をあしらうよう、教育委員会が働きかけてくれた。その橋渡しを私たちが行うことになった。車両は日産のマイクロバス・シビリアンをオートワークス京都で移動図書館に改造し、さいたま市でデザイン施工を行うデサンが全面にラッピングを施して納車となった。2012年9月には、ダミーコ社からのゲストが陸前高田市を訪れ戸羽太市長に面会した他、実際に巡回している移動図書館車を見ることができた。









この活動には、スーパーGTで活躍するイタリア人レーシングドライバー、ロニー・クインタレッリRonnie Quintarelli 選手も度々参加してボランティアに足を運んでいただいた。それが縁で、2016年にイタリアで発生した地震により甚大な被害を受けたアマトリーチェへの支援(別のページで紹介)にも繋がった。



支援活動は、2014年9月に京都で私も参加して、立命館大学メンネルコール(男声合唱団)OB会によるチャリティコンサートが行われたほか、2015年3月に仙台市で開催された第3回国連防災世界会議 The 3rd UN World Conference on Disastar Risk Reduction 2015 Sendai Japanにもブースを出してPRした。陸前高田市市立図書館は嵩上げされた高台に完成した総合施設「アバッセたかた」の中に新築され、2017年7月20日にお披露目されている。移動図書館車も引き続き市内各地を1ヶ月に一度巡回している。






今は、ささやかながら陸前高田こども図書館「ちいさいおうち」の支援をしている。来年は震災から満10年を迎える。本当の意味での復興はまだまだこれからも続く。引き続き支援が求められるだろう。
