旅に出ると宿泊を伴う。知人宅に泊まるケースがあるかもしれないが、多くはホテル。泊まることは一日の疲れを癒す場であり、一日の出発の拠点でもある。
合唱団で旅した時は修道院に泊まった。信心深くて、「えー!規則でがんじがらめなんじゃない?」と思うかもしれない。確かに祈りの場は安心感を持つが、安価な上に結構ゆるやかでビールもたくさん用意されているし自由に飲めるのも魅力だ。
一方、私にはまったく縁がないが、⭐️の数の多さを競う豪華なホテルもある。ただ、庶民的なシティホテル、ビジネスホテル、B&B(Bed & Breakfast)、ユースホステルのように部屋を共有するドーミトリータイプもある。チェーンか、独立系か、経営母体にもよる。グループの場合には、荷物の心配はなく遠くても良いだろうが、一人や個人の旅であれば荷物の運搬を考えて、駅の近くを選ぶだろう。齢を重ねると、重いスーツケースを運ぶのが大変で、それだけでヘトヘトになってしまう。
ホテルは泊まる国によって違うし、多くの選択肢がある中で選ぶのは骨も折れる。「当たり」は嬉しい。日本で宿泊するホテルとは場所によって異なった趣もあり、それがまた楽しい。


2019年の旅では、1泊だけミュンヘンでB&Bを利用した。このタイミングはホテル代が異常に高かった。メッセ(見本市会場)で展示会が開催される街では、ビジネスマン中心の価格帯になり開催期間中値段が跳ね上がるのを経験している。ビジネスホテルでも1泊3万円することもザラ。会場から遠ければそれ相応の値段だが、遠くなるので時間がかかってしまう。だから判断に苦しんでしまう。ミュンヘンもそうだったのだろう。ドイツではフランクフルト、ハノーファー、ライプツィヒ、ベルリンなどが、イタリアではボローニャなどを思い浮かべる。
市内ガスタイクでコンサートを聴き、早朝に出発するだけの滞在なので、なるべく安く済ませたかった。B&Bを選んだ基準は、空港に近いSバーンの駅から歩けること。周辺にはホテルが少なかった。7時35分発の飛行機に乗るには不安だったので、暗い朝5時には宿を出た(そんなに早く出る必要はなかったが・・・)。通常なら朝食が付くが、朝早く出ることを前日に告げておくと、パンとリンゴの入った袋をテーブルの上に用意しておいてくれた。こういう配慮は嬉しかった。この宿のオーナーはお父さんが画家だったそうで、壁に作品がかかっていた。マダムは韓国出身でとてもフレンドリーな方だった。東洋人同士でとても助かった。宿の食堂・台所は共有で自炊も可能で、シャワーはフロアごとに用意されていた。







ある晩は、ドイツ中部の街フルダのフラウエンベルク修道院の宿舎に一泊した。部屋はデスクがついて広い。シャワールーム付き。この修道院は、東京・東久留米にある聖グレゴリオの家の初代理事長である故ゲレオン・ゴルドマン神父の出身地である。合唱団の旅行で何度か訪ねたこともあるが、宿泊したのは初めてだ。丘の上にあるので、ドームをはじめ市街地を一望できる。静かで朝ごはんも美味しかった。






ドイツのツーリスト向けホテルは、シャワーがほとんど。バスタブがついているホテルは少ない印象だ。シャワールームもさまざま。ガラスやアクリル扉で閉め切るタイプもあれば、アクリル板で仕切られている(全面ではなく半分程度)ようなタイプ、カーテンなどもある。注意してシャワーを浴びないと、床がビチョビチョになることもある。シャワーは、パイプを上下させて高さを変えて使う。
シャンプーやボディソープにも変化が見られる。壁にボトルが付けられ、押せば出てくるタイプが増えている。お湯と水の温度調整も、昔に比べれば楽になった。タオルは、ほとんどハンガーに引っ掛ける紐(タグ)がついていたが、だいぶ少なくなったように思う。
エレベーターのフロア表示にも特徴がある。地上階は”1″とは言わず”0”か”E”で表記している。”E=Erde”で「地上」を意味する。





2016年にライプツィヒでホテルモーテルワン・アウグスト広場に泊まった(写真)。朝食をとったレストランからは聖ニコライ教会がよく見えた。そして2019年は、ベルリン・ツォー駅の近くベルリン・クーダム(ベルリンの目抜き通り)に投宿した。そこは、1990年にG.ガーシュウィン作曲のオペラ「ポーギーとベス」を観た西劇場の隣だった。ドイツに入国したテーゲル空港からバスでの移動がラクで、市内での移動にも便利な場所を選んだ。モーテルワンは、ドイツを中心に中欧諸国で展開し急成長中。シングルで80ユーロくらいで一泊できるから人気がある。朝食は別料金だがとても内容が充実していた。ベッド近くにUSBポートや電源を確保でき、携帯などのバッテリー充電が容易。フロントの対応が良いというチェーンで、居心地も良く良心的なチェーンホテルとして結構気に入っている。
ところで2019年の旅行は、ベルリン(4)→フルダ(1)→アイゼナハ(1)→ミュンヘン(1)→ドレスデン(2)→ライプツィヒ(2)→プラハ(3)というスケジュールで宿泊し、2週間各地を巡った。【注】( )カッコ内は宿泊数
困ったことが一点。洗濯物のこと。下着は洗面所で手洗いすればなんとかなるが、Yシャツの洗濯には困った。私が泊まったホテルは、ランドリーサービスに対応していなかった。1軒はあったが、出しても滞在中にできないと言われた。ようやくライプツィヒのホテルに、7-8Kgを一度にできる全自動の洗濯機と乾燥機を使用できた(5ユーロ)。乾燥が終わったらアイロンとアイロン台を借りてYシャツのシワを伸ばした。Yシャツのランドリーサービスならばどこでもやっているだろうと勝手に思い込んでいたが、事情は違った。長旅になる場合など、ホテルのサービスをチェックした方がいい。
旅行にはスーツケースで移動することが多い。どこのホテルでもチェックイン前に無料で預かってくれる(チップを渡すところもあるが)。この旅で駅近くのホテルを確保した理由も、重い荷物を持つよりも、ホテルに預けて一日を行動するかによるところが大きい。ホテルではない場合には、駅のコインロッカーも利用できる。スーツケースが入るサイズが標準的なので使い勝手はいいと思う。



イタリアのホテルには、ビデと呼ばれるもう一つの便器(洗面台)が設置されている。「ウォッシュレット」は、こうした二つの便器を統合した発展型なのかもしれないと思った。ローマで泊まったホテルは、マスカーニ。「カヴァレリア・ルスティカーナ」を作曲した音楽家の名前で、フロントには楽器のレプリカが置かれていた。実は、このホテルに泊まった時、セーフティボックスに財布を忘れたことを成田空港に着いてから気づいた。ホテルを出てから24時間以上経過して帰宅後ホテルに連絡したら、盗まれることなくボックスの中に残っていたことが判明した。ほんと助かった!
その後、ローマに住む友人に連絡して確保してもらい、財布やカード類を送り返してもらった思い出もある。
中央と右の写真は、プラハで泊まったベトレムクラブというホテルの地下にある食堂。剣や防具などが飾られている。ここは、ベツレヘム礼拝堂の向かいにあり、ヤン・フスからフス戦争に関わるレプリカなのだそうだ。ホテルにも個性があり、その土地でゆかりのある人や由来を知るのも旅の楽しみだ。
