アルフォンス・ムハ。プラハで観る 


プラハに来ると何度でも訪れたい場所がある。その一つが、プラハ城内にある聖ヴィート教会の中にあるステンドグラス「聖キリルと聖メトデウス」。作者はアルフォンス・ミュシャ(チェコ語ではムハ)だ。毎週日曜のミサが8時半から始まるので、そのタイミングで教会内に入れば、じっくり鑑賞できる特権がある。

ムハはチェコで生まれ育ち、フランス・パリでアールヌーヴォーの旗手としての名声を得た。女性をモデルにしたポスターなどで独特の作風を描いた。それらの作品の多くを、市内の中心地にあるムハ美術館で観ることができる。

ただ、チェコ・スロバキア共和国が成立したのが1918年。その前後で民族主義が台頭したことや、さらにスラブというアイデンティティが、新たな作風を作り上げた。その後、チェコに戻り新たな境地を開くことになった。その集大成が1910年から28年まで費やして描かれた20枚に及ぶ大作「スラブ叙事詩」だ。プラハでも常設展示場はなく、これまで一時的に美術館に展示されていたものだ。

そのすべてが日本に引越した展示会が2017年、東京の新国立美術館で開かれたことは記憶に新しい。入場までに長蛇の列ができるほど多くの来場者が観たことは、ムハの人気のほどがうかがえる。「スラブ叙事詩」の作品は現在、本国チェコで常設展示されていないという。近い将来ヴィシュフラート駅周辺に美術館が新たに建設され、展示される予定があるというニュースをラジオで聞いた。ぜひプラハでもう一度観たい。

また、なかなか観ることができないムハが描いた「チェコの歌」と題する作品が、フラホル合唱の家という建物の壁に残されている。スメタナをはじめ数人の作曲家が中心になって、この建物が1905年に完成した。私はこの絵を見ながら、合唱の練習をする機会に偶然にも恵まれた。絵は、民族主義をかき立てるメッセージが書かれた1912年ごろの作品だという。スラブ叙事詩と通じるテーマのように感じる。

さらに、天井や壁にムハの描いた作品を間近に観ることができるのが市民会館Obečni dũm。ほぼ、スラブ叙事詩と同じ頃に描かれたものと思われる。特に「市長の間」が有名だ。ここはほぼ毎日、定期的に見学ツアーが英語で催行される(日本語の解説は貸与あり)ので、ぜひ観ていただきたい。ただし入場料に加えて、写真撮影代が必要。撮影代を払わないと、カメラやスマホで撮影することができないので注意した方がいい。

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